夫の認知症介護!〇〇で乗りきれた
2022年10月のオンラインサロン笑い道の月例会(ルナ会)の話題提供者は、茨城県の笑いヨガティーチャー柴山まつ江さん。
認知症のご家族をサポートする活動をしていらっしゃったことは存じておりましたが、和やかな笑顔と優しい語り口からは想像もつかない体験をされていたのでした。
穏やかな人生を送って来られたイメージとは異なりますが、ご主人が若くして認知症になられ、その介護を通じて学ばれたことをシェアいただいたオンラインサロン笑い道のルナ会でした。
仲が良かったのかな!?
茨城県つくば市に住んでおります、柴山まつ江です。
人前で話すのは慣れていませんが、今日は私の介護の体験をお話します。
私は茨城生まれの茨城育ち。どこにも出たことがありません。
私が長女で弟が3人の4人兄弟でした。県立学校の事務職員として、42年間勤務しました。
夫とは、同じ仕事をしていて、勤務校で知り合った職場結婚です。私が25才、夫は33歳のときでした。
もちろん当時のことですから、家事は全部妻任せという人は多かったのだと思います。
夫の場合、帰りはいつも御前様です。
家の鍵も持たず、子どもの事、家の事などすべて私の担当でした。
夫は夫で事情があったのかもしれませんが、離婚も考えたこともあるほど、頭にくることは多かったです。
でも、家と土地を二人折半して購入していたので、それを夫にただでやるのが悔しいじゃないですか(笑)
だから、事が起きないように工夫をし、家族として幸せな思い出もたくさんある、平凡な家族だったと思います。
そうは言っても、そんな夫です。「将来は絶対に介護なんかしてやるもんか!」と思っていました(笑)
仕事と家庭を両立し、2006年に定年退職するまで、勤めることができました。
私の定年退職の記念は、息子たちからのプレゼントで、夫婦で沖縄旅行でした。
まさか夫が認知症!?!
仕事をしていたときは、子育て、家事、その他全部ひとりでやっていたような状況だったので、退職したらいろいろやりたいと、正直楽しみにしていました。
「さあ!これから私の時間」と「毎日が楽しい時間が待っている!」となるはずだったのに、どうも夫の様子がおかしいのです。
私は市の包括支援センターに相談をしてみることにしました。
夫は気分の波が激しかったのです。
訪問の際は、認知症の件で相談しているといった話は一切せずにとお願いしたのです。
担当者たちはプロですので、さすがにうまく対応してくださいました。
夫は、訪問に来られた方に、ものすごい形相で「何しに来た!!」と言ったのですが、全く動じずに「高齢家庭を順番に訪問していて、今日はこちらにあたっていますから」という説明をしてくれました。
夫は納得したらコロリと態度が変わり、「どうぞ、どうぞ」と家に招き入れ、和やかに談笑したのでした。
診断結果は、間違いなく認知症であるということでした。
しかし、本人は当然認めません。
診察を何度も拒否し続け大変だったのですが、子どもたちが説得し、やっとの思いで診察が出来たとき、レビー小体型認知症と告げられました。
レビー小体型認知症というのは、機嫌の変動が激しいのです。
今笑っていたのにすぐ険しくなり怒り出す。
また、幻聴や幻覚に悩まされるのです。パーキンソン病も併発していました。恐ろしさでいっぱいでした。
覚悟を決めた
定年退職後は、自分の好きなことをあれこれしようと思っていたわけですから、認知症のことも介護のことも、予定外でした。
こんなはずではなかったといくら思っても、解決の手口が見つかるわけではありません。
それはもう、いろいろなことがありました。
どんなに恐ろしくても辛くても、介護者は私しかいないのです。
私しかいないと覚悟を決めたとき、何をすればよいのかが見えてきました。
幻聴や幻覚、パーキンソン病は仕方ないとしても、どうしたら穏やかに過ごせるかは、工夫の余地があります。大声を出されたり、殴られたりしないようにするにはどうしたらよいかといった生活の質を保つための工夫も一生懸命考えました。
そして、私がイライラしたり、怒ったりしないこと、笑顔で接すること、と決めました。
これはとても効果があります。
しかし、そう決めたからといって、いつもできるものではありません。
夫の認知症は、一般的な認知症でイメージするような記憶障害がありませんでした。
レビー小体型認知症には、記憶には影響がないのです。そこがまた、大変でした。
だから、認知症だからといって、いい加減なことを言って辻褄が合わないと怒りだしますし、一切ごまかしがきかないのです。
夫の兄妹にも相談できませんし、自分の兄弟も男ばかり。
子どもも息子だけです。愚痴を言える相手はどこにもいませんでした。
毎日毎日、平静さ取り戻そうと、罵詈雑言をノートにぶつけてみたりもしました。
しかし、それでは心は晴れません。
どんなアドバイスより「うん、うん」「そうか」「そうなんだね」「大変だったね」と私のその時の状態を受け止めてくれたり、漏れ出てしまう愚痴を聞いてくれたりする人が欲しかったのです。
介護は24時間ではない
怖かったし、つらかった介護ですが、24時間365日介護に自分が乗っ取られているわけではありません。
夫を介護しながら、パッチワークと山野草クラブに籍を置いて、同じ趣味の人たちと活動したのは、気分転換になりました。
また地域のボランティア活動に参加して80歳以上の高齢者に食事を届ける活動もしました。
山野草クラブでは鉢で植物を育てたり、種を分け合って育てたりしました。
パッチワークはタペストリーやバック・ポーチ・ベットカバーなどを作りました。
山野草クラブは月1回、パッチワークは月2回だけですが、そんな息抜きの時間がとても大切でした。
夫は認知症だけではなく、他の病気もありました。
2013年の2月に他界しました。
直接の原因は胸膜中脾腫で、最後の2か月だけ入院することになりましたが、ほぼほぼ家で過ごせました。
夫を見送ってからは、編みものやシルバーリハビリ体操指導士の資格やキャラバンメイトの資格、篠笛の講座にも通いました。
笑いヨガも始めました。
認知症介護に大切なのは
自由に時間を使えるようになったとはいえ、すぐに介護時代の想いが消え去るわけではありません。
認知症の介護家族に寄り添いたいという、同じ経験をしている7人の仲間と2015年5月から「集い」を始めました。
月に1回認知症の本人も一緒に昼食を作り、食べながら話をします。
その後、施設が別に借りられるようになってからは、月に2回となりました
この会をやっていて、繰り返すことで認知症になっても出来るようになることを学びました。
認知症当事者のご主人が、「俺も手伝うよ」と食事つくりを手伝うようになったといった嬉しい話も聞こえるようになりました。
私たちの活動を多くの人に知ってもらい、参加して頂けるようにNPO 法人にすることにしました。(特定非営利活動法人ともに歩む認知症の会・茨城)
2017年9月28日に認定書が届きました。
コロナ禍の今、皆で集まって料理はできないのですが、「集い」は月2回会場参加とオンラインの方はZoomで参加し、続いています
私は2018年につくば市に引っ越し、水戸までの距離があるのでこの会の役員は辞任しましたが、一会員としてZoomで参加しています。
その他に、下妻では、2013年5月から、つくばでは2019年4月から認知症の介護家族や本人との集い「オレンジカフェ」に参加しています。
認知症の夫を持った経験者だからといって、なんでもわかっているわけではないですし、こうした活動を知っていただけても、認知症の人の家族が活動に参加する余裕すらないのかもしれません。
笑いヨガのように、夫が生きているうちに出会えていたら、どんなに良かったかと思ったものもあります。
しかし、結局は自分が覚悟すること。この「覚悟」を持つことで、情報を得られたりつながりができたりするのではないかと思います。
自分自身の健康のこと
2013年10月に広報誌を見て、笑いヨガに出会い、日本笑いヨガ協会の笑いヨガリーダー養成講座を受けてから引っ越す迄、笠間の笑いクラブに毎週参加しました。
今は自分自身と周りの人のお役に立てるように、2018年にはティーチャー養成講座を受講し、地域のつくばのせせらぎクリニックで月1回1時間程度の笑いヨガと、毎月月末の木曜日にzoomで10分笑いヨガを行っています。
笑いヨガも、ただ笑うだけではなく多少の身体の知識もあった方がいいと思うのと、後期高齢者となった今、自分自身の身体のメンテナンスを兼ねて、身体の勉強をしています。
2020年の4月から作業療法士さんと、体のメンテナンスを月二回、オンラインでの体操を週2回、椅子と床で行っています。
筋肉の長さと骨の長さは同じにしないとゆがみがおきる、骨盤が定位置にないとポッコリお腹になる、肩腰膝のそれぞれの痛みはその部位だけの痛みではなく、いろいろの部位がかかわっているなど、学びながら体操をしています。
体操を始める際に、「体が軽くなります」と言われたのですが、鎧をまとっているような体が、軽くなるなんて、信じられませんでした。
それが、経った半年で明らかに違うのです。年だからとあきらめる必要は無いのですね。
私は、夫の病気が重くなり今までしてきたことを、すべてやめました。
また、笠間からつくばへの引っ越しで、続けてきた山野草や篠笛もあきらめました。
自分の意思に反して辞めざるを得なかったことは多いのです。
今は、出来ることを見つけ楽しんでいます。
人との結びつきを前向きに考えようと思ったからです。
これからも、自分の人生を楽しんでいこうと思います。
今日は、貴重な時間をお付き合いいただき、ありがとうございました。
コメントを残す