「65歳を過ぎた人の7人に一人は認知症」とか「人間の脳は20歳がピークでそれをすぐたら脳細胞は1日10万個死ぬ」といった話を聴くと、誰でもが不安になったりします。
しかし、20歳と90歳の健康な人の脳を比べても、脳の萎縮は15%程度です。加齢だけで記憶力が落ちるのではなく、むしろストレスや睡眠不足、意欲の低下といったことの方が、記憶力を落としてしまうのです。
記憶力を上げる方法は、たくさんあります。
毎日笑って暮らせるよう、「覚えられない」ストレスを解消でき、気になる記憶力低下を止め、むしろアップさせる方法をご紹介していきます。
記憶力向上の秘訣
1.意欲
人は、好きなこと、興味のあることは簡単に覚えられます。しかし、やらなければならないことは、なかなか覚えられないものです。
たとえば、学校の試験のための暗記は、すごく大変。暗記が必要な科目は苦手という方も多かったでしょう。でも、好きな子の誕生日や趣味、あるいはその人が話したことやったことについては、一度聞いたら記憶に残ります。
やらされているものは、記憶されにくく、自分の興味のあること、好きなことは覚えやすいのです。
私は子どもの頃から世界中を旅したいという夢があったので、英語が話せるようになりたいという意欲はありました。しかし、中学校1年生でつまづき英語は一番苦手な科目でした。
単語や文法を覚えることに、興味がなかったのです。
しかし、18歳の頃(高校3年生)、約1年で英語が話せるようになりました。
夏休みにアメリカに行き、英語は現地に行けばなんとかなると思ったのですが、何ともならない体験をしたのです。
「ハロー」「ハウマッチ イズ ジズ?」は言えても、自分の知りたいことを会話することができず、すごく悔しい思いをしました。
甘く考えていた「英語」ごときでせっかくのチャンスを逃す体験が、悔しくて仕方なく、帰国後勉強したのです。
中学・高校の6年間の英語苦手は何だったのかと思うほど、あっさりできるようになりました。
「意欲」だけで英語はできるようになりましたが、その後ドイツ語、フランス語、スペイン語を学びましたが、どれもモノにならなかったので、語学センスは無いのです。
「能力」より、「意欲」が勝ります。
だから、「私、覚えるの苦手なんです」という人がいたら、私には「私、やる気ないのです」と聞こえてしまいます。
もし、覚えられなかったり、忘れてしまったことがあったとしたら、「自分にはもう必要がないことだったのだ」と気にしない! 次! と楽しいことを探しましょう。
2.報酬
記憶力を上げるのに有効なのが「ご褒美」です。報酬といわれるものですが、自分に利益があったら、やる気が出て記憶力がすごくあがります。
好きな子と同じ学校に進学したいから、勉強がんばる!
100点取ったら、お母さんから最新のゲーム機買ってもらえる。
これ全部覚えて言えるようになったら、コンクールで優勝して10万円もらえるかも!
こういうことをモチベーションにすることで、記憶力が爆上がりします。
我が息子は、高校時代は野球に明け暮れ、全く勉強しませんでした。ところが、大学野球をやると決め、進学する大学を決定した瞬間、スイッチが入り、淡々と受験勉強をこなして希望の大学に入学してしまいました。
覚えたら良いことがあるというのは「意欲」と似ています。「意欲」が自分の内側からのエネルギーなのに対して、これは外からの「報酬」です。
「大学野球」というニンジンで、記憶力を上げた例です。
しかし、この「ご褒美」は気を付けなければならないものです。ご褒美で頭を動かす習慣ができてしまうと、ご褒美がないと行動できなくなってしまう可能性があるからです。
3.制約
「コロナが終わったら、南米旅行に行こう!それまでに、スペイン語をマスターしよう!」
と思うのと、
「3週間後ににスペイン留学の奨学金試験がある。留学は決まっているけど、最高得点の人は学費生活費が全て無料になる。」
というのと、どちらが記憶力があがりますか?
コロナはいつ収束するかわからないので、期限がありません。
それに対し、試験は3週間後に迫っています。
期限が決まっている方が、脳は活発に働きます。
それも、3週間後より3日後、3時間後の方が記憶のためのメカニズムは働きやすくなります。
時間が短いほど、記憶の獲得に関係する神経ペプチドと、記憶の実行をしようとするドーパミンという神経伝達物質の分泌が高まるからなのだそうです。
制約がきつければきついほど、何とかしようと神経伝達物質の総動員となります。
脳内は、無数の情報が行きかっていて、それを上手に伝達させるのが神経伝達物質です。
ドーパミンだけではなく、アセチルコリン、ノルアドレナリン、セロトニン、メラトニンといった神経伝達物質も、記憶に関係してきます。
欲求が高まったときに、たくさん分泌されます。
「記憶」は「集中力」「やる気」は全て同じ仕組みなのです。
制約をかけることで、神経伝達物質を動かしましょう。
4.結合
私たちが記憶をするときも、記憶を引き出すときも、自然に何かに関連付けています。
イメージ力で、思い出すべきものと他のものを「結合」させるのです。
たとえば、
「昨日の夕食に何を食べました?」と聞かれたとき、どのようなプロセスで思い出すでしょうか。
「家で食べた」=家の食卓、「息子が嫌なピーマンだけど、肉詰めだから食べてた。成長したな」といったような、場所やエピソード、あるいはその時味わった感情と関連づけて思い出します。
「醤油をこぼした」「きれいなウエイトレスさんだった」あるいは「会話」といった動作や目に入った光景と、食事内容を関連付けているのです。
「感情」を伴うと、印象に残るのは、誰でも経験済のはずです。
子どもの頃の遠足や、ケンカをしたことは、イキイキと思い出せるのに、最近のことが頭に入ってこないし、思い出せないのではないでしょうか。
年齢を重ねれば重ねるほど、記憶の倉庫が満杯になります。入らなかったり、取り出すのに時間がかかったりするのは、あたりまえなのです。
経験が豊富になったがゆえに動きにくくなった「感情」を意識的に動かすようにしてください。
「夕陽がきれい」「このりんご美味しい」「この人赤が似合うわ!かっこいい」ささいな日常的なことで、感情を動かす努力をしてみてください。
年齢が高くても、一番最初にあげた「意欲」が高ければ、覚えられるし思い出せます。
もし、思い出せないのであれば、自分にとって大切なことではないのだと割り切るのも手かも知れません。
5.反復
なんども反復することで、脳神経細胞が、良く働いてくれます。
記憶においては年齢に関係なく反復は極めて重要です。
ある実験では、20分後に42%、1時間後には半分以上、1日で75%、1週間で8割忘れるという結果がでています。(エビングハウス忘却曲線)
笑いヨガリーダー養成講座では、「笑いヨガとは何か」を2日間かけて覚えます。それを、使わなければすぐに忘れてしまうことも、自然なことなのです。
何度も繰り返せば、短期記憶が長期記憶になるのです。
漢字や九九も、思い出してみれば、何度も練習しましたね。反復こそが、脳神経細胞を動かし、記憶を定着させるのです。
若い頃のことは、覚えていても、最近のことは忘れてしまいがちなのは、昔のことは何度も反復して思い出すからなのです。
英単語だけではなく、漢字も日本語の固有名詞も忘れます。それらは、使っていないからです。
忘れることを気にするよりは、今必要なことのために時間を使いましょう。
「反復に勝る王道無し!」
6.暗示
記憶法は、昔からいろいろな手法があります。
しかし、最強のテクニックは、自分はできるという思い込みです。実は、記憶は「自分はできる」と思い込んでいることが大事なのです。
「こんなもの、覚えられるのかなあ?」
「もう、年なのだから?」と思った瞬間、覚えられる可能性は激減します。
「自分はできる!」と素直に自分を信じることも、神経伝達物質が活発に動き、逆に、「もしかしたらできないかも!」がその動きを止めます。
脳に限らず人間の身体のことは、まだまだわからないことだらけです。
素直さと、直観力、自分を信頼する力こそが、意欲を生み、ご褒美を望み、イメージ力を育て、反復する気力につながるのではないでしょうか。
年齢を言い訳にせず、記憶力に自信がないなんて思わないで、やりたいこと、全てにチャレンジしませんか?
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