認知症のリスクファクター12

認知症のリスクファクター

認知症とは、記憶力や判断能力などの脳の機能が低下して日常生活に支障が出てきた状態のことです。

『ボケないための笑いヨガ』という本は2013年に高田佳子が書いた初めての笑いヨガの本でした。
笑って元気に一生を過ごしていただくために、笑いヨガを活用していだきたいという想いを込めた本で、認知症予防にも効果大だと思います。

あれから認知症だけではなく、笑いと健康の研究には「笑いヨガ」を笑いの発生源として用いられることがどんどん増えてきました。

そして、2022年5月に『ボケないための笑いヨガ』が改訂版として再版されることになり、修正部分を確認するために改めて調べてみました。

2017年には権威ある英国の医学雑誌ランセットの認知症予防の委員会がまとめた大規模な研究結果が出されています。
さらに2020年版に「認知症予防、介入とケア」というレポートで、認知症の12のリスク要因が明らかにされ、日本語でもたくさん紹介されています。

『ボケないための笑いヨガ-改訂版』でもこの12項目についてはご紹介しています。
予防のための具体的行動が自分でできることも多いので、笑い道でもご紹介します。

認知症予防シリーズ1「認知症予防に効く食材5」シリーズ2「脳機能に効果抜群の趣味3選」も合わせてお読みください。

 

1.認知症の12のリスクとは

ランセット認知症予防、介入、ケアに関する国際委員会(Lancet International Commission on Dementia Prevention, Intervention and Care)という長ったらしい名前の委員会が2017年のアルツハイマー病の国際会議で発表した研究結果は、なんと3分の1以上が、個人のリスクに影響を与える生活習慣要因を気を付けることで、認知症予防ができる可能性があるというものでした。

さらに、2020年に「過度の飲酒」「外傷性脳損傷」「大気汚染」が付け加えられています。

どんなものかは、わかりやすい図を見つけたのでご覧ください。

出典:岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野ホームページ

 

認知症予防が高齢になってからやるものではなく、若いうちから気を付けた方が良いと思いますが、実際若い頃からの心掛けが大切だという結果が改めて確認できました。

4割は修正可能と言われても、なかなか難しい項目が含まれます。知識として知っておき、ちょっとでも認知症予防ができるなら、意識して生活したいものです。

 

2.中年期から気を付けること

2-1.耳を大切にする

耳が聞こえづらくなると、認知症になるリスクが高くなります。
聞こえが悪くなってきたら、補聴器を使用するなどして予防することが、とても大切なのです。

家でテレビを大音量で聞くことに慣れてしまったら、耳はどんどん悪くなります。
若い人はイヤフォンで音楽をガンガン聴いていたりしますが、85db以上の音を聞き続けることにより、聴力に問題が生じやすくなるので危険です。

騒音の場所に長時間滞在しないよう、気を付けましょう。

 

2-2.頭に気を付ける

外傷性脳損傷も認知症のリスク要因にあげられています。
頭を打つなどして頭部に大きな衝撃を受けると、その時は大丈夫でも、時間が経ってから認知症のリスクがあるということです。

サッカー選手は認知症になる割合が高いのだとか!!

自転車に乗る際はヘルメットをかぶるとか、転倒しないよう十分気を付けましょう。

 

2-3.高血圧コントロール

高血圧は動脈硬化の原因となります。
そして、ついには脳梗塞、脳出血などの脳血管の病変につながり、脳血管性の認知症になりやすいのです。

アミロイドβ蛋白の産生が促進され、アルツハイマー病変も加速されると考えられています。
目安としては、収縮期血圧が130㎜Hg以下が望ましいとされています。

中年期から高血圧がある人ほど認知症リスクが高いので、血圧高めの方は管理してください。

しかし、低血圧の人も認知症リスクが高くなるそうです。

なかなか難しいですが、適正値が大切ということですね。

 

2-4.過度のアルコール摂取

アルコールは肝臓に悪いと知られていますが、多量のアルコールの接種は脳にも影響を与えます。

注意力・記憶力の低下、感情のコントロールができないといった症状が現れることがわかっています。
また、摂取したアルコールの量に比例して脳が萎縮すると言われています。

脳の萎縮により、認知機能が低下したり、脳梗塞のリスクが高まったりします。

人によってアルコール耐性が異なるのでこれ以下だと安全というわけではありませんが、目安としては、1週間あたり350㎎の缶ビールなら12本程度迄とされています。

笑トレの後はビールが美味しすぎる!!

でも、ストレスで飲んでしまうことが多い人には、ストレス解消に笑トレをはじめとした運動が大変有効ですので、運動してみんなで適量のアルコールが一番いいかもしれませんね。

 

2-5.肥満にならないように

この研究結果によると、肥満の人の脳では、新しい神経経路ができにくくなっているのだそうです。

肥満により、脂肪細胞で作られている生理活性物質であるサイトカインの分泌異常が起き、血管障害や、血糖を下げるインスリンが効きにくくなり、認知症のリスクを間接的に高めている可能性があると書かれています。

体脂肪が過剰にたまると、脳内で神経細胞に毒性をもたらすアミロイドタンパク質がたくさんできて蓄積され、それが認知症のリスクを高めているのだそうです。

BMIが30以上の肥満の人は、BMIが18.5~24.9の正常の人に比べ、認知症を発症するリスクが31%高く、とくに女性では、肥満で認知症のリスクを39%上昇させます。

しかしBMIが30を超える人は、男性5.8%、女性4.4%しかいないのです。
むしろBMIが18以下のやせ過ぎの人に認知症が多いという日本の研究もあります。

体重に一喜一憂する必要はありませんが、脂肪量が増え続けることは脳に良くないので、認知症を避けるために、体重管理はしっかりしていきましょう。

 

3.年齢を重ねてからでも改善すべきこと

3-1.禁煙はいくつからでも遅くない

喫煙者は、がん、脳卒中、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、動脈硬化、慢性閉塞性呼吸不全(COPD)、糖尿病、歯周病などの病気になりやすいと言われています。

自分だけではなく、受動喫煙の影響もあり、自分だけではなく周囲の人の健康にも影響してきます。

禁煙して4年経ったらその影響はなくなるといわれています。
いくつになっても、喫煙は遅くありません。

お酒と同じでイライラするからタバコを吸いたくなるのであれば、笑トレがお勧めです。
朝の笑トレで、10分間運動すると、ストレスは減り、いい気分で1日を過ごしやすくなります。

https://www.facebook.com/takadayoshiko.waraiyoga/

 

3-2.「うつ病」にならない生活を

認知症と老人性のうつ病は、不眠や食欲低下、体調不良といった症状が似ているため、区別がつかず、治療が遅れる場合があります。
全く違う病気なのでここを間違え、認知症が進んでしまう危険性があるのです。

年だから仕方がないと考えないことです。
朝起きるのが大変でも、9時迄には起きて軽い体操や散歩を2週間程度続けてみてください。
朝日が当たる場所で、日向ぼっこでもいいかも知れません。それで症状が改善しないようなら、早めに受診をするのが良いようです。

 

3-3.友人やご近所との交流が大切

研究では「社会的接触」という言葉で表現されていますが、人生を通して手紙を書くなどの認知的活動を行う機会が多かった者の方が、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβの沈着が少ないということがわかっています。

家族や友達との交流や、地域のグループ活動に参加することが大切なのですね。
おしゃべりするだけでもいいので、自分から積極的に周りの人と交流を持ちたいものです。

 

3-4.糖尿病予防

糖尿病の方はそうでない方と比べると、アルツハイマー型認知症に1.5なりやすく、脳血管性認知症に約2.5倍なりやすいと報告されています。
また、糖尿病治療の副作用で重症な低血糖が起きると、認知症を引き起こすリスクが高くなると言われています

認知症予防は、糖尿病の予防と治療がとても大切です。

 

3-5.運動不足にならないように

運動不足こそが、認知症予防の一番のキーです。

他の認知症リスクである高血圧・糖尿病・肥満も、運動で一気に解決できるからです。

WHO(世界保健機構)の2019年に出された認知症予防のガイドラインでも、1週間に150分の中等度の運動(早歩き・水中ウォーキング等)か、75分の高強度の運動(ランニング・水泳・縄跳び等)が推奨されています。

運動量としては、毎朝20~30分の早歩きの散歩でいいのです。

朝の笑トレを毎朝10分して、週2回程度40分のちょっと運動量の多い笑いクラブに参加すれば、それだけで認知症予防には十分な運動と言えます。

 

4.対策が難しいもの

4-1.大気汚染

2020年に追加された項目のひとつですが、PM2.5が高い地域に住む人は、認知症になる割合が高いことが、わかっています。
アルツハイマー病の原因であるアミロイドβの蓄積が進むからです。

住む地域は簡単に変えられるわけではないでしょうが、住環境やPM2.5の濃度にも意識を向けることが大切な時代なのかも知れません。

 

4-2.教育不足 — 学びは一生続けよう

この研究でいう教育不足とは、子どもの頃(中学校卒業)の教育が十分でないと、認知症になりやすいというものです。

この研究が発表される前から、教育年数が長い方が認知症になりにくいということは言われていました。

若い頃、教育が受けられなかったとしても、学ぶ学びの習慣を忘れないようにしたいものです。

脳の活性化に良い趣味については、指や足を使う、複数の動作を同時に行う等があります。
認知症予防シリーズ2『脳機能に効果抜群の趣味3選』に書きましたので、合わせてお読みください。

 

5.まとめ

以上がランセット委員会が発表した認知症予防の教科書のような12項目です。
12項目は、全部やろうとすると、大きな数字ですし、ひとつひとつは数パーセントです。

しかし、トータルすると40%になります。

自分で変えられる認知症予防の方法ですので、少しずつでも、できることからやっていきましょう。

食品の項目が無いのは意外でした。

しかし考えてみたら、飲酒でも述べたように、アルコール耐性は人種や個人差が大きく、これ以下だったら大丈夫とは言えません。地域差や個人差が大きい食べ物は、研究成果として出てこないことは想像できます。

「自分にとって」の心地よさを尊重し、自分にとっての効果を実践しながら、自分流にアレンジしていくのが一番良いのだと思います。

抗酸化作用を気にするといった基本はありますので、認知症予防シリーズ1に簡単に出来ることはまとめましたので、ご参照ください。

 

血圧・血糖値は、ちょっとしたストレスで上下します。
1回の数字で右往左往するようなものではありませんが、認知症予防だけではなく、健康維持にはとても大切です。

笑いには血圧・血糖降下作用があることがわかっています。ストレスを下げ、好ましい脳内神経伝達物質を分泌するからだと考えられています。

笑いで運動をする生活習慣、身に着けませんか?

 

最後に

この12項目の認知症のリスクファクターについては、『ボケないための笑いヨガー改訂版』(春陽堂)高田佳子でも紹介しています。もちろん、笑いヨガのやり方や効果についても紹介しています。

Amazonや書店等でご注文いただけたら、嬉しいです。

1 個のコメント

  • 有り難うございました‼️大変参考に成ります!健康にはきをつけていますが、ツイツイ忘れる事があります‼️これからも、認知症に成らない様気を付けて頑張って行きます‼️

  • 北岡正子 へ返信する コメントをキャンセル

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